では、老眼とその前兆の境目はどこなのでしょうか? ところで、正視とはなにかわかりますか? 正視というのは、近視や乱視、遠視などがないメガネなどで矯正を必要としない、いわゆる「よい目」のことをいうのですが、この「よい目」であっても見えない(ピントを合わせることができない)距離があります。 「よい目」でも目の前1センチのものははっきり見えません。 目にぐっと近づけてピントを合わせることができる最短距離を近点距離といいます。 この近点距離は年齢を経るとともに伸びます。小学生から20歳までは10センチ前後までみることができます。しかし、30代では15センチ、40代では20センチ以上になってしまいます。つまり、近点距離は10代のころから確実に伸び始めているのです。 しかしなぜ40歳前後まで気づかないのか?それは新聞や本を読むときたいていの人は30~40センチ話して読みます。そのような習慣を持っているため、近点距離が30~40センチ程度になって初めて老眼の事実を知ることになるのです。10センチ程度しか本を離さずに読む人はいません。 もしいたとすれば、その人は早々と20歳そこそこで老眼の症状に気づくことになるでしょう。そして、逆に50センチも離して読むことが習慣となっている人は、通常よりもずっと遅くまで老眼の症状に気づかない可能性があるといえます。 いずれにせよ、早い人では既に30代の後半に、調節力の低下の影響がでてくるわけです。ただし、それを本人が自覚するかどうかは、目の屈折状態をはじめ、職業、環境などによって、早い遅いのいずれかがあります。 結局、近点距離が何センチから老眼であると結論付けることはできないのかもしれないです。何センチから・・・という代わりに、「いつも普通に読んでいた距離で新聞が読みづらくなった」と感じたらそれは老眼の症状が現れているということです。